化学は理系受験生にとって避けて通れない科目ですが、「何をどの順番でやればいいか分からない」と悩む受験生が非常に多い科目でもあります。偏差値40台からのスタートでも、正しい参考書を正しい順番で使えば、MARCHや国公立レベルの化学で合格点を取ることは十分に可能です。
この記事では、化学の参考書ルートをレベル別に完全網羅して紹介します。基礎の基礎から難関大レベルまで、段階的にステップアップできる参考書の組み合わせと使い方を解説するので、自分の今の実力に合った地点からスタートしてください。
化学が苦手な人のための基礎固めルート
化学の偏差値が40台の受験生は、まず基礎概念の理解からスタートする必要があります。いきなり問題集に手を出すのではなく、「なぜそうなるのか」を理解するための講義系参考書から入ることが、遠回りに見えて実は最速のルートです。
講義系参考書で全体像をつかむ
化学が苦手な受験生にまずおすすめしたいのが、「宇宙一わかりやすい高校化学」シリーズです。理論化学・無機化学・有機化学の3冊に分かれており、イラストや図解が豊富で、化学の知識がほぼゼロの状態からでも理解できるように書かれています。
このシリーズの良い点は、難しい化学用語をかみ砕いて説明しているところです。モルの概念や化学反応式のバランスなど、多くの受験生がつまずくポイントを丁寧に解説しています。1冊あたり2〜3週間で読み終えられるので、3冊合わせて約2ヶ月で化学の全体像を把握できます。読むだけではなく、各章末の確認問題も必ず解いてください。
もう1つの選択肢として「鎌田の理論化学の講義」「福間の無機化学の講義」「鎌田の有機化学の講義」シリーズもあります。こちらは「宇宙一」よりやや詳しい内容で、偏差値45〜50程度の受験生に向いています。どちらか1シリーズを選んで、まずは1周通読することが化学攻略の第一歩です。
基礎問題集で知識を定着させる
講義系参考書を1周読み終えたら、次は「リードLightノート化学」や「セミナー化学」といった基礎レベルの問題集に移ります。これらは教科書レベルの問題を網羅しており、基本的な計算問題や用語の確認ができます。
基礎問題集の使い方で大切なのは、解けなかった問題に印をつけて繰り返すことです。1周目で解けた問題は2周目では飛ばし、解けなかった問題だけを重点的に復習します。3周もすれば、基礎レベルの問題はほぼ完璧に解けるようになります。この段階で偏差値は50前後に到達しているはずです。焦って先に進むよりも、ここでしっかり基礎を固めることが逆転合格への土台になります。
偏差値50→60に引き上げる標準ルート
基礎が固まったら、入試で実際に出題されるレベルの問題演習に入ります。ここからが本格的な受験対策の始まりで、日東駒専〜MARCHレベルの合格点を取るための力をつけていきます。
「基礎問題精講 化学」で橋渡し
「基礎問題精講 化学」は、基礎と標準の橋渡しに最適な問題集です。「基礎」と名前についていますが、実際には入試基礎〜標準レベルの良問が厳選されており、この1冊をマスターすれば日東駒専レベルの化学には十分対応できます。
全部で約150問と問題数が絞られているため、短期間で1周できるのが強みです。解説が非常に詳しいので、解けなかった問題もしっかり理解でき、独学にも向いています。目安として、1日5〜6問ペースで約1ヶ月で1周、2周目は2週間で完了します。この問題集を3周すれば、偏差値55〜58程度の実力がつきます。
「化学 重要問題集」でMARCHレベルへ
偏差値55を超えたら、「化学 重要問題集」(数研出版)にステップアップします。この問題集は大学入試の定番中の定番で、多くの進学校で副教材として採用されています。A問題(標準)とB問題(応用)に分かれており、A問題をすべて解けるようになればMARCHレベルの化学で合格点が取れます。
重要問題集は問題数が約270問とボリュームがあるため、計画的に進めることが大切です。まずA問題のみを1周し、B問題は志望校のレベルに応じて取り組みます。MARCH志望ならA問題の完璧な理解で十分です。国公立や早慶を目指す場合はB問題も含めて演習しましょう。この問題集を仕上げれば偏差値は60前後に到達します。
偏差値60→70の難関大ルート
早慶や旧帝大レベルを目指す受験生は、さらにもう一段上のレベルの演習が必要です。思考力を問う問題や複数の分野を横断する問題に対応できる力をつけていきます。
「化学の新演習」で実戦力を磨く
「化学の新演習」(三省堂)は、難関大志望者の定番問題集です。問題の難易度が星1つ(標準)から星3つ(難問)まで分かれており、自分のレベルに合わせて取り組めます。星1〜2の問題を中心に演習すれば、早慶レベルの化学に十分対応可能です。
この問題集の特徴は、入試で実際に出題された問題をベースにしている点です。実験操作の記述問題や計算量の多い問題など、本番に近い形式で演習できます。問題数は約330問とかなり多いため、志望校の頻出分野を優先して取り組むのが効率的です。全問を完璧にする必要はなく、星1〜2の問題で8割以上解ける状態を目標にしましょう。
「化学の新研究」を辞書として活用
「化学の新研究」は、約800ページにおよぶ化学の百科事典的な参考書です。問題集ではなく、分からないことがあったときに調べるための辞書として使います。
「なぜこの反応が起こるのか」「なぜこの物質にはこういう性質があるのか」といった疑問に対して、大学レベルの知識も交えながら詳しく解説しています。最初から通読する必要はありませんが、重要問題集や新演習で疑問が生じたときに該当箇所を読むと、化学の理解が一気に深まります。旧帝大や医学部を目指す受験生には必携の1冊です。
分野別の攻略ポイント
化学は理論・無機・有機の3分野から成り、それぞれ勉強のアプローチが異なります。分野ごとの特徴と攻略法を押さえておくことで、効率よく実力を伸ばせます。
理論化学の攻略
理論化学は計算問題が中心で、モル計算、気体の状態方程式、化学平衡、電気分解などが頻出分野です。公式の丸暗記ではなく、「なぜその計算式になるのか」を理解することが重要です。
特につまずきやすいのが「mol(モル)」の概念です。化学のほぼすべての計算にモルが登場するため、ここが曖昧だとその後のすべてに影響します。「宇宙一わかりやすい」のモルの章を何度も読み返し、基礎問題精講でモル計算の問題を徹底的に演習することが、理論化学攻略の最優先事項です。
無機化学・有機化学の攻略
無機化学は暗記量が多い分野ですが、闇雲に覚えようとすると挫折します。周期表の位置や電子配置から性質を推測する「理屈」を先に理解してから暗記に入ると、記憶の定着率が格段に上がります。
有機化学はパズル的な思考力が求められる分野です。構造決定問題が入試の頻出テーマで、官能基の反応パターンを正確に覚えておく必要があります。「鎌田の有機化学の講義」で反応の流れを理解した後、重要問題集で構造決定問題を集中的に演習するのが効果的です。有機化学は短期間でも集中して取り組めば急激に伸びる分野なので、苦手な受験生こそ早めに対策を始めることをおすすめします。
化学の年間学習スケジュール
偏差値40台からMARCH〜難関大レベルまで引き上げるための年間スケジュールを紹介します。高校3年生の4月スタートを想定しています。
前半(4月〜8月)
- 4月〜5月:「宇宙一わかりやすい高校化学」理論・無機・有機を通読。各章の確認問題を解く
- 6月〜7月:「基礎問題精講 化学」を2周。解けない問題に印をつけて重点復習
- 8月:「化学 重要問題集」A問題を開始。夏休みを使って1周目を終える
前半のポイントは8月末までに重要問題集のA問題を1周することです。夏休みは1日2〜3時間を化学に充てられる貴重な時期なので、ここで一気にレベルを上げましょう。
後半(9月〜2月)
- 9月〜10月:重要問題集A問題の2〜3周目。B問題にも着手(難関大志望者のみ)
- 11月〜12月:志望校の過去問演習を開始。弱点分野を重要問題集で補強
- 1月:共通テスト対策。共通テスト形式の問題集で時間配分を練習
- 2月:私大・国公立二次試験の直前対策。過去問の復習と弱点の最終確認
後半は過去問演習が中心になります。新しい参考書に手を出すのではなく、これまで使ってきた参考書の復習と過去問を解くことに時間を使いましょう。化学は直前期に伸びやすい科目なので、最後まで粘り強く取り組めば、本番で思わぬ高得点が出ることも珍しくありません。
まとめ
化学の参考書ルートは、講義系参考書→基礎問題集→基礎問題精講→重要問題集→新演習の順に段階的にレベルを上げていくのが王道です。偏差値40台からでも、このルートを着実にこなせばMARCHレベルには半年、早慶・旧帝大レベルには1年で到達できます。
大切なのは、自分の今のレベルに合った参考書から始めることです。背伸びして難しい問題集に取り組んでも、基礎が固まっていなければ時間の無駄になります。まずは「宇宙一わかりやすい」で基礎を固め、そこから一段ずつ階段を上っていってください。
